パティシエから農家に転身し、梨づくり
千葉県北東部の山武郡で、梨を中心に南瓜、水稲、ミニトマト、葉ネギなど、さまざまな農産物を生産しています。私はもともとパティシエとして働いていましたが、梨園を経営する父のケガをきっかけに就農しました。急な方向転換でしたが、すぐに農業の面白さを実感し、梨の栽培を一から始めました。
初収穫までには5年かかりましたが、その間に、どの角度から見ても梨の木がキレイに整った、清潔感のある梨園を作り上げました。自分では日本で一番キレイな梨園だと思っていますが、キレイであることには意味があります。根や枝の張りがキレイに整っていることは、養分が均一に行き届くことを意味するからです。私にとって梨園はアトリエであり、現在は30種類以上の品種を育てています。
ブランドコンセプトは agrithree =3つのアグリ
当初の経営方針は、市場流通から直接販売への転換でした。その後、梨の木のオーナー制度を始め、梨づくりが人の輪づくりにつながるような事業に取り組んできました。そして、法人設立から5年目、社員全員でブランドコンセプト「agrithree」を設定。ここには「3つのアグリ」=①地域の農業文化を守ります ②自然と人を、農業を通して繋ぎます ③農業を憧れの職業にします という意味をこめており、生産するだけの農園ではなく、公園のように地域を護り、人々に愛される「アグリパーク」を目指しています。
その一環として、「FARM TO. . .」という名の施設をオープンしました。地域の人々が集う「コミュニティCAFÉ」と、生産者が加工品の研究や実験に使える「農家のキッチンLABO」が一体化した施設です。ここでは、個性と多様性を生かした品種選び、品種の特徴を生かした食べ方、食のシーンを提案し、農産物の可能性を広げる販売を行っています。
また、女性の目線で「美容と健康+美味しさ」を軸にした加工品開発も始めています。女性が輝く場を創ることで農業自体の価値が高まり、食産業のステージへ飛躍できると考えています。もちろん、梨の加工にも本格的に取り組んでいます。
「FARM TO. . .」のTOの先に、あなたならどんな言葉を置くでしょうか?例えば「FARM TO KITCHEN(キッチン)」「FARM TO GIFT(ギフト)」など、さまざまな可能性につながるはずです。人によって、また時に応じて変化する可能性を、1つ1つ形にできる場になればいい。そして、そこから地域の人々とのつながりが生まれれば、こんなにうれしいことはありません。