農家50戸で取り組む、売れる米づくり

栽培技術と栽培管理を一本化、一等米比率は90%以上

 私たちは岩船産コシヒカリの産地である新潟県村上市で、「売れる米づくり」を実践しています。「私たち」とは、この地域で米づくりをしている約50戸の農家のことで、全員の田んぼを合わせると、約110haの面積になります。この110haの水田を、全員が同じやり方で管理し、常に高品質な米を生産できるようにすることが、「売れる米づくり」につながります。

 そのためにまず、栽培技術と栽培管理を一本化しました。全員で共通の栽培技術協定を交わし、情報を共有して作付けを行います。次に、土づくり。有効微生物を増やして地力を上げるために、10aあたり3.5tの堆肥を散布しています。家畜糞尿ではなく、間伐材からつくる堆肥なので、臭いの問題が発生しません。しかも、チッ素成分がないため土壌のC/N比が15~20%と低く、稲の倒伏も避けられます。堆肥散布は私の会社・新潟ゆうきが一手に行っています。
 そして、栽培管理にはITを導入しています。土壌の分析や生育調査の結果も含め、栽培に関わる全ての情報をデータ化。その裏付けのもとに作物を栽培し、次年度の作付けや肥料・農薬設計も行います。毎年蓄積していくデータに外部機関の情報も加え、米づくりの精度を毎年向上しています。
 2016年に私たちが集荷し、流通させた米は約1万5千俵で、そのうち一等米の比率は90%以上。これは新潟県の平均を大きく上回る実績です。

生産基盤を維持することで地域の環境も守る

 「売れる米づくり」を支えてくれるのは、リピーターの皆さんです。私たちのつくる米を毎年買っていただくためには、お客様の満足を休むことなく追求していかなければなりません。品質を高く維持し、収穫量を安定させ、コストを削減することで、お客様も農家も喜ぶ「売れる米」ができ上がるのです。

 「売れる米づくり」を支えてくれるのは、リピーターの皆さんです。私たちのつくる米を毎年買っていただくためには、お客様の満足を休むことなく追求していかなければなりません。品質を高く維持し、収穫量を安定させ、コストを削減することで、お客様も農家も喜ぶ「売れる米」ができ上がるのです。
 私はかつて、全国稲作経営者会議の会長を務めていました。そのためか、国の農業政策に対する意見を求められることもあります。最近もある農林部会で、農業現場の課題と私が望む制度として、土地利用型農業特有の経営リスクや雇用環境の整備、農地基本台帳の再整備、流通も参画する生産調整の検討などについて説明や提言をさせていただきました。人が行動し、進化し続けることができるのは、気づきがあるからです。私の提言が何かの気づきにつながれば幸いに思います。
 農業経営と生産に携わることは、農地の保全につながります。つまり、土地利用型農業は、広い面積を耕作して生産活動をすること自体、国土の保全にも貢献していることになります。これからも農業の生産基盤を維持することで、地域の環境を守る役割を担っていきたい。それが私たち50戸の農家の願いです。

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