淡路島たまねぎブランド「蜜玉」誕生秘話

未経験からのスタート

私は農業に従事する前は、フランチャイズのラーメン店で店長をしていました。その会社の社長に出資をお願いし、淡路島に移住して2525ファームを立ち上げたのが28歳のとき。農業はまったく未経験で、ゼロからスタートでした。
はじめは農地を確保するのが大変でした。どこの馬の骨かもわからない私に、先祖代々守ってきた田んぼをだれが貸すねんっていう話ですよね。同じ立場なら自分でもそう思うので、きっちり仕事をして、地主さんとの信頼関係を築くことに時間をかけました。
ありがたいことに、私には農業の師匠がいます。農業のこと、商売のことはもちろん、淡路島で良好な人間関係を築くコツまで、すべて教えてもらいました。二人とも出身地が神戸という共通点だけで繋がった不思議なご縁ですが、師匠は私の一生の恩師です。

「蜜玉」のブランディング

農業を始めたとき、私のキーワードは「廃れないもの」でした。いま流行している野菜はたくさんありますが、仮に経済的な危機が日本に訪れたとき、残るのはスタンダードだと考えました。そこでたまねぎを選びました。
「淡路のたまねぎ」といえば一大ブランドです。しかし、そのブランドで勝負しようとしても、他の農園には勝てません。なぜなら、私たちのようにJAさんを通さずに販売している農園は南淡路市に180もあり、売り先がバッティングしてしまうからです。そこで、「2525ファームのたまねぎ」をブランディングできないかと考えました。私にはノウハウはありませんが、こちらも不思議なご縁で繋がったコンサルタントの方に協力を仰ぎました。3年間準備をして、2016年に販路を拡大するとき、「蜜玉」という名前で商標を登録しました。

「情報をオープンにする」SNSと農業のスタンス

「蜜玉」は、いわば隙間産業なんです。JAさんがたまねぎを安定的に出荷してくださっているからこそ、私たちは今の供給で商売ができている。JAさんの安定供給に乗っからせてもらっているわけです。
JAさんやこの土地に何かお返しができないかと考えたときに、私たちが率先してメディアに登場することで、淡路島の農業をイメージアップできないかと考えるようになりました。そこでFacebookで情報をこまめに発信し、他のメディアの取材も受けるようになったのです。

SNSの利点は、お客様が知りたい情報にすぐにアクセスできることです。これまで農家は、どちらかといえば秘密主義だったと思いますが、これからは情報をオープンにしていかないと、ビジネスとして大きくならないと思います。農業を「見える化」していくためにも、SNSを活用していきます。

これからの2525ファーム

私には、明るく楽しく笑顔で働きたいという理念があります。ニコニコ働ける環境を作りたくて、会社に2525(ニコニコ)ファームと名づけました。スタッフ3名の雇用もでき、会社の業績を上げていくことを目標にやってきた5年間でした。これを継続しつつ、新しいことを仕掛けていくために、ホワイトコーンの栽培や、どこよりも早く出荷できるたまねぎの栽培を模索する毎日です。
FacebookやInstagramでは、新たなチャレンジについての情報もアップしています。それを見た同世代の人たちに、「俺もやるぞ」ってなってほしいんですよね。淡路島の農業人口が増えれば、産地を維持できます。若者が夢を持てるような農業が、もっと増えたらいいなと思います。

(編集部より:蜜玉については、2525ファームさんのFacebookで詳しく掲載しています。https://www.facebook.com/2525farm/)

メッセージを送る

参加農家のトピックス