おいしい米を、お客様に直接届けたい
生きることは食べること。毎日の食卓においしい米をお届けするために、こだわりの米を生産しています。味への評価を確かめるために出品している全国コンクールでは、これまでに何度も名誉ある賞をいただいております。一般のご家庭はもちろん、大手ホテルレストランや老舗料亭、百貨店、また香港やシンガポールといった海外のホテルからも注文をいただいております。
黒澤家は21代続く農家です。20代目で水稲栽培に特化し、現社長の私・黒澤信彦が就農した際、栽培規模を拡大しました。私が就農した31年前は1俵2万円台という米バブルとも言える時代でしたが、米価は年々低下。農協に出荷するだけでは利益を出せず、1993年からお客様に直接販売する「直売」を始めました。地域の旅館や友人・知人の繋がりを頼るだけでなく、東京都内の一般家庭を訪問し、米のサンプルにアンケートを付けて営業しました。高級スーパーなどにも営業を続け、めげそうになったこともありましたが、サンプルを受け取ってくれた人が販売先を紹介してくれたり、営業方法をアドバイスしてくれたりと、ありがたい協力が得られるようになりました。当時の努力があってこそ、今のお客様と巡り合わせてもらえたのだと実感しています。
おいしい米の作り方は、食べて学んだ
「おいしい米」とはどんな米でしょうか?私が思うおいしい米は、まず色が違う。炊きあがりは青光りし、つるつるとした舌触り。香り良く、甘い。そして冷めてもおいしい。そんなお米をお届けしたい。米の味を良くするために私がしたこと、それは、おいしい米を食べて学ぶことでした。米づくりのトップランナーに会いたくて新潟県魚沼の生産者を訪ね、話を伺い、それからは毎年魚沼産コシヒカリを購入して、その年の米に学び続けています。魚沼産コシヒカリは本当においしくて、作り手の熱意にも感動させられました。米の味には、作った人の人柄がよく出るものなのです。
魚沼産コシヒカリに負けない米を育てることが目標でした。私たちが米作りをする南陽市は盆地で、夏は暑く冬は寒い環境は魚沼に似ています。品種の選定と、栽培方法によっては目標を達成できると考え、様々な米を試食し、栽培についても勉強しました。そして、ねばりが強く冷めてもおいしい「夢ごこち」と、もち米に近い「ミルキークイーン」に辿り着きました。どちらも炊いてから冷凍し、解凍して食べても風味はほぼ変わりません。 栽培においては、有機肥料のほかにミネラルやアミノ酸を土に加え、土壌の環境を最大限に引き出す工夫を続けました。近年は山形県の主力品種「つや姫」も栽培しています。私が提供したいのは、食卓で「主役」になれる米です。栽培の現状や私の想いをSNSで発信しています。ご覧いただき、共感していただければ幸いです。
お客様、そして地域と共に
黒澤ファームでは、農林水産省が定める農業生産工程管理(GAP)の認証取得に向け、準備を進めています。会社そのものの環境改善と情報発信によって、取引先の信頼を高めていきたいからです。お客様との繋がりは何より大切です。おいしさに留まることのない、安心・安全という信頼、米の価値はそこにあるのではないでしょうか。
私たちの田んぼの水源である織機川は、鶴の恩返しが伝えられる川です。この川の周辺で特別栽培を行い、土づくりや米の食味にこだわる農業の担い手が集まり、「おりはた環境保全協議会」を立ち上げています。 地域の皆さんと共に川の環境保全活動や勉強会、情報交換を行い、地域ブランド「夕鶴郷米」も販売しています。私たちの地域をお客様にも知ってほしいとの想いから、契約している東京のホテル和食レストランの料理長とスタッフを、田植えと稲刈り体験にお迎えするようになりました。生産の現場で感じたことは、料理人や食べる人に伝わり、それぞれの結びつきと信頼を強めてくれるのではないでしょうか。私たちは地域にとって必要な会社でありたい。地域に寄り添い、さらに成長していきたいと願っています。