農業女子の力で佐賀農業を盛り上げる

昨年の結成から認知度上昇中

「ノラ仕事は、楽しくやらなきゃ」。このグループ名の由来を、代表の黒木貴子さんは満面の笑みで教えてくれた。2016年11月22日に設立された、佐賀県の農業女子グループ「カチカチ農楽(のら)が〜る」。「カチカチ」は県鳥であるカチガラス(カササギ)にちなみ、「農楽が〜る」は農業を楽しむ女性を意味する。

黒木さんは佐賀県の特産であるレンコンや玉ねぎを杵島郡白石町で生産している。23歳で農家の嫁として嫁いでくるまで、農業とは全く無縁の生活だった。嫁いでからは無我夢中で家業を支え、3人の子供も育て上げた。

農家の嫁として、自分でも何かできないかと農林水産省の「農業女子プロジェクト」に参加した黒木さん。そこで生まれた農業に携わる女性たちとの交流から、地元・佐賀の有志で立ち上げたのが、この「カチカチ農楽が〜る」だ。発足から数か月でメンバーは20代から60代の20名にまで増加。スーパーの敷地でマルシェを開催するなど、日々活動の幅を広げている。いろいろなメディアへも出演し、広く知ってもらえるようになった。「周りの助けが何よりありがたい。私たちの世代にできることは、これから農業を担っていく若い世代の背中を押してあげること」と黒木さんは語る。

メンバーの個性を活かしたコラボ企画にも意欲

そんな”背中を押される”メンバーの一人が、「明日香園」で働く向井明日香さんだ。小さい頃からユリやケイトウなどの花きを生産する実家の家業を手伝い、農業はとても身近な存在だった。

学生時代を大阪で過ごし、福岡県久留米市に移ってからは花屋で働いていた。再び実家の家業に携わったのは23歳の頃。現在は4人の子供を育てながら、主に経理を担当する。2100坪の敷地では、家族のみならず、スタッフ4名、海外の研修生も働いている。「これからの農業の課題は働き手の確保。海外の研修生もよく働いてくれている」。

最近では自社で育成したケイトウが様々な賞を受賞するなど、活躍の場を広げている。今後の意気込みを尋ねると、「農楽が〜るで

お歳暮商品などのコラボ企画をやってみたい。また、女性が農業に携わってがんばっていることをたくさんの方に知ってほしい」と向井さんは笑顔で語った。

イベントも好調成長に期待

7年3月25日、カチカチ農楽が〜るは嬉野市塩田町に集結した。

2日間にわたって開催される「嬉野温泉酒蔵まつり」に出店するためだ。会場には自分たちが生産した商品を所狭しと並べ、その横には女性向けに開発されたトラクターや軽トラックの展示が会場に花を添えた。

2日間の売り上げは好調で、青果物や加工品を手に取るお客さんで大繁盛だった。その様子を満足そうに眺める黒木さん。「マルシェを開催することで、メンバーと一緒にいる時間を持てることが嬉しい。自分の商品を売るより、メンバーの商品を勧めて買っていただき、また話が弾む。素晴らしいですよね」。出展ブースを行き交うメンバーの笑顔は、これからの佐賀県農業を明るく照らしているようだ。

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