トマトが好きだ!高知の元気な大玉トマト

ずっしりと重たい、昔ながらのトマトづくり

 高知市春野町西畑は、仁淀川の河口近くに広がる肥沃なデルタ地帯で、昔から施設園芸が盛んな土地です。私たちはここで、酸味と甘みがあり、ずっしりと持ち重りのする昔ながらのトマトをつくっています。

 もともとここでは、夫の野村巧がキュウリとスイカをつくっていました。その後、ナスのロックウール栽培に転換しましたが、「日照時間が長い高知では、トマトの方がこの栽培方法に適している」と、1997年からトマトづくりを始めました。2002年には室戸海洋深層水のニガリを使ったミネラルトマトの栽培を始め、離農された方々から施設を借りては作付けを増やしてきました。
 しかし、7年前に夫が亡くなり、私が後を継ぐことに!専業主婦志向の私が社長になるなんて、夢にも思いませんでしたが、夫の右腕だった野村貴隆さんと小松寛幸さんに支えられ、税理士さん、社労士さんにもご支援いただいて、チーム経営で再出発。2015年に法人化し、現在は栽培面積3.4haのトマト農家に成長することができました。

規格外トマトをおいしく料理するパイとタルトのお店

 ロックウール栽培には土を使いません。その分、病気が少なくなるので、薬剤の使用を抑えることができます。トマトの木に勢いがあるうちに収穫するので、実の大きさも味も安定し、収穫量が読みやすくなります。そのデータを収集して分析し、生産・販売計画に反映する「データ営農」を行っています。
 栽培品種は桃太郎ピースが中心で、8月から9月上旬の期間を除き、毎日約4tを出荷中。半分はJAさんに、半分は自主ルートで販売して、年間700tを出荷することが今の目標です。
 でも、収穫量が増えるにつれ、傷物や変形などの規格外トマトがたくさんできてしまうという悩みがありました。私たち農家にとっては、上級品のトマトも、不揃いで出荷できないトマトも、同じ手間と経費をかけて大事に育てたトマトです。もちろん、同じようにおいしいので無駄にしたくない。そこで昨年、「野菜がタルト」というお店をオープンしました。トマトを使ったパイとタルトの専門店です。形が悪くて出荷できないトマトが、素材のよさ、うまさを前面に出した料理となり、お客様に喜んでいただける。こんなに嬉しいことはありません。
 お店のオープンを機に、会社のマークも一新しました。「トマトが好きだ」というキャッチフレーズと、夫の笑顔のイラストが目印です。実はこのイラスト、私が描いたものなんです。このマークが付いたトマトを、もっともっと食卓に届けられるよう、これからも安定供給を第一に、トマトづくりを続けていきます。

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