日本茶の魅力を世界に発信

和束茶の美味しさに感動して新規就農

京都弁でお茶のことを「おぶぶ」といいます。「京都おぶぶ茶苑」は、京都府南東部の和束町でお茶をつくっています。和束町は宇治茶の約5割を生産し、抹茶の原料となるてん茶の生産量で全国一を誇る産地です。おぶぶ茶苑のお茶は、畑で収穫したままの荒茶を浅蒸しして作ります。他産地の茶葉とのブレンドや、刻みなどの加工を施さない、シングルオリジンのお茶です。
私は大学生のとき、和束町で出合った一杯のお茶に感動し、大学を中退して茶作りの世界に飛び込みました。7年かかってようやく納得のいくお茶を作れるようになり、販売については松本靖治副代表が、これまでにない手法を確立してくれました。

 

キーワードは日本茶を世界へ

   

日本茶の需要は、国内では減少傾向にありますが、海外では高まりを見せています。松本副代表は海外への販路拡大に取り組み、インターネットを活用する情報発信によって、世界65か国への出荷を実現してくれました。
また、私たちは海外での日本茶普及活動の一環として、「国際インターン制度」に力を入れています。これは、国内外からインターン生を受け入れ、3か月間の共同生活を通じて、お茶の栽培から製茶、販売までの日本茶ビジネスと、その文化や理念を学んでもらう取り組みです。これまでに19か国から63名を受け入れ、その内の5名が母国に帰ってお茶に携わる仕事に就いています。
さらに、年1回、海外で日本茶のPRイベントを開催しています。海外のお茶の学校と提携してセミナーやワークショップを行い、現地在住の「国際インターン制度」卒業生にも、通訳や講師などで活躍してもらっています。

 

伝統は革新されて初めて伝承される

これからの農業には、生産するだけでなく、新しい需要を作ることが必要です。お茶には鎌倉時代に伝わってから800年もの歴史と伝統がありますが、大切なものを残し、新しいものを取り入れながら、伝統の一継承者として次の世代にバトンを渡したい。伝統とは革新されて初めて伝承されていくものだと思います。
私たちは今後、1年を通じて製茶ができるよう、冷凍技術を導入した工場を運営する予定です。また、国内外の観光客に茶畑からお茶の魅力を伝える「ティーツーリズム」も強化していきます。「世界を動かすたった一つのもの。それは情熱である」、私の好きなこの言葉通り、情熱をもって日本茶の需要を世界に広げて行きたいと考えています。

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